振り返り

今期は・・・・と書こうとしたらもう4月でした。早いもので新年度ですね。

遅れましたが前期を振り返りたいと思います。

前期の成績は16勝15敗とかろうじて勝ち越し。

トータルで見れば全く満足できませんが、一時期を思えば望外の成績です。

前期は、特に昨年は全く勝てず、棋士生活というより将棋人生で最悪。

そんなサボってるつもりもなかったので、なぜここまで勝てないのか分かりませんでした。

最初は不調と思ってましたが、続くとそのうちこれが実力だったのかなとも思い始めて、対局中も「最後は自分が負けるのでは」とネガティブになったりで、ますます勝てなくなるという悪循環。お先真っ暗という感じです。

そんな状況から抜け出すひとつのきっかけになったことを書きたいと思います。

昨年12月、C2小倉七段戦に負けたあとのこと、某パーティーで将棋界の大先輩にお会いしました。その方は棋士ではありませんが、将棋界をずっと見守られてきた方です。

その方に言われたのは

「最近の君の将棋はつまらない」「手が縮こまっていて見ていて何も面白くない」というもの。他にももうちょっとありましたかね。

「キツイこと言うなあ」と思いながらも(笑)面と向かって言ってもらえるのは本当に有難いことですし、正直思い当たることもありました。勝ちたい、と思い過ぎて、固くなりすぎているのも分かってました。

「もっと気楽にやればいいんじゃない?」と最後に言ってもらいましたが、人間そう簡単にはいきません。

ただ「将棋がつまらない」と言われたのは、けっこうグサッときました。負ける上につまらないのでは救いがないな、と。

なので思ったのは

「どうせ勝てないなら指したい手を指して散ろう」ということでした。

ヤケというか(笑)開き直ったわけで、そのことが功を奏したのか分かりませんが、それから成績も上向いたように思います。

その方には、言いづらいことを言ってくれて本当に感謝しています。

つい先日、そのお方から手紙を頂いて、その中に「順位戦最終局はネットでずっと見てて本当に面白かった!」とありました。それはとても嬉しかったことです。

前期は苦しかった時期も長かったですが、その分何かを掴むことができた一年だったようにも思います。

ブログをご覧の皆さんには、苦しいときに暖かいコメントをたくさん頂きました。どれだけ励まされたか分かりません。本当にありがとうございます!

今期の抱負ですが、特に細かい目標はありません。。

月並みですが体調に気をつけて、目の前の一局にベストを尽くして頑張っていきたいと思います。

今期はちょっとはやれる!!・・・ような気がしているのですがどうなるか。

どうぞ変わらず応援よろしくお願いします!

コメント

  1. テツ より:

     瀬川さんの奨励会退会からアマとして活躍し始めた頃の変化に確かに似ていますが、違いもあると思います。それは、瀬川さんの棋力が上がり、そこでぶつかった壁ということだと思います。
     アマの頃の指したい手と、現在の指したい手、そしてさらに強くなった時に指したい手、それぞれ違うんだと思います。
     自分の指したい手を指す時期と、相手の指したい手を殺す(負けない手を指す)時期を繰り返しながら、棋力が上がっていく、ということでしょうか?

  2. じじやの より:

    昔は米長邦雄のフアン、次に先崎学、今は瀬川晶司なのです。昇級したのに黒星続きで、一時はどうなるかと心配しました。最後は盛り返して、流石と思いました。今年度の活躍を期待しています。

  3. ごん より:

    勝った、負けただけでない深~いお話。
    とても参考になりました。

    羽生さんにこんな言葉があったと思います。
    不調も1年は試行錯誤、2年続いたら実力。
    (もっと綺麗な表現だったと思いますが、スイマセン)。シビアな忠言で1年とかからずに不調脱出・・・ですね!

  4. ライス丼 より:

    NHK杯で羽生さんを止められるのは、瀬川さんしかいない!

  5. かつ より:

    不謹慎ですけど、記事の内容で爆笑してしまいましたよ。「どうせ勝てないなら指したい手を指して散ろう」っていつも指したい手を指してないんですか??・・・と言うのは冗談でリスク覚悟で思いっきり指したってことですよね(笑)。
    今期のNHK杯で一回戦突破したら、おそらく涙を流すお父さん達がたくさんいると思いますよ。是非羽生さんとやりたいですねっ!なめちゃんも鈴木八段も凄い楽しみです。なめちゃん本当に今期は責任感とか自覚を持ってNHK杯がんばってくださいね。。。。気合だぁー(笑)

  6. あき より:

    まるさんもおっしゃってる通り、瀬川先生はまっすぐで素直で心がきれいだと思います。
    だから多くの人に応援されている。
    人に本心を隠したり、表面上の付き合いをしてまう私としては見習いたい存在です。
    今年度もいい将棋をよろしくおねがいします。

  7. まる より:

    先生は,誰に対しても真っすぐですれておられませんね。。ファンに対しても温かく紳士的でプロです。もうサラリーマンだった頃とは違う棋士瀬川先生という一面が完成されておられる感じ。
    先生の選ばれた道が今年度も明るく私の希望の光となって下さるようわがままなお願いをさせて下さい。今年度も応援させてくださいね。よろしくお願い致します。

  8. はに~ず より:

    いいお話ですね。
    変わらず応援させていただきます。

  9. LogicalInSpace より:

    将棋に勝つこと。 将棋を楽しむこと。
    このことは、別のことだと思います。
    しかし、瀬川さんは、楽しむことが勝つことにつながるのではないかと、文章を読んで感じます。
    将棋を楽しみながら、勝って欲しいです。
    いつも応援しています。

  10. YU より:

    お話を読んで思ったのは、瀬川さんの奨励会まで指していた将棋がアマチュアになって変わったというお話に似ているということです。
    素人の私が見ていて、瀬川さんの良いときの将棋は「踏み込みが良い」と思うのです。
    これからもそんな瀬川さんの将棋が見たいと思います。
    細かい成績は気にせず、思いっきり指したい手を指して欲しいです。
    今年度がどんな将棋になるのか楽しみにしています。

  11. バンプおやじ より:

    最近本業が忙しく(本ギョですよ、オヤジ◯◯)、先生へのコメントさぼっていて申し訳ありませんでした。素晴らしい先輩ですね。と言うか、その言葉を素直に受け入れた先生の心の広さに感銘しました!大丈夫、いい年になりそうです。とりあえず早いうちの五段昇段を決めてください。お祝い考えておきます。

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